つくりかた <3>360°収穫

グラフィックデザインも、システム化も、すべてはコンテンツとユーザーを結びつけるためにあります。ゼロワンファームの考える「具体的な悪い例」は次のようになります。

悪い事例1

WindowsPCの、特にInternetExplorerで見るととてもキレイです。それどころか、サイト全体がFlashで作られていて、バキバキに気持ちよく動いて、ものすごく派手で、大変な予算をかけて制作したかいもあったわけです。制作会社も、クライアント企業の担当者も、その上司も、そのまた上司も、社長も、みんなWindowsPCを覗いて大満足 ─── 「やっぱ、きっちり金かけると良いサイトができるなぁ」。

実は、お金をかけた割には、ぜんぜんダメダメのサイトです。ケータイサイトは、無いか、あってもショボイ出来。だって、Flashバキバキ前提で設計されたサイトだから、ケータイ用にコンテンツを組み直せるわけがないのです。そして・・・iPhone/iPadに至っては「なんにも表示すらされない」状態。今や、少なくとも日本では、ウェブサイト閲覧の主力がPCからどんどんケータイ・iPhoneに流れていっている中、まるで化石のようなサイトです。
化石といいつつ、美容系・ファッション系では、このような自己満足のダメサイトが極めて多いのが実情です。

悪い事例2

確かにケータイユーザーは大事。トレンドリーダーのiPhoneユーザーも大事。だから、PCサイトはもちろんきっちり作り込んで、ケータイ向けサイトも3キャリア別に、それぞれ最適化したサイトを用意。さらにはiPhone用ページもきっちり作ります!

確かに、さまざまなデバイスを使うユーザーみんなが閲覧できます。しかも、各デバイスならではの制作方法による、最高のクオリティで。何が悪い事例なのか!!・・・いや、やっぱりこれもマズいんです。
コンテンツは生き物です。今日のコンテンツは、明日明後日はまだまだ新鮮でも、来月、あるいは来年になれば・・・つまり、更新のしやすさが重要です。広告的な観点から、まるでマス広告における各媒体一斉投入のような旧来的手法で「きっちり」制作してしまうと、古いテレビコマーシャルのように役立たずのサイトになってしまいます。なぜなら、更新しようと思っても、全デバイス用のサイトを、それぞれの形で改変していかなくてはならないので「更新に高コスト」「ぜんぜん更新しない」「PC版だけ更新」みたいな状況になってしまいます。

というわけで、ゼロワンファームの方針

ターゲティングがはっきりしている場合(例:モバイルアクセスのみ)は、もちろんデバイスを絞り込んで制作すべきです。コスト問題だけではなく、そのデバイスに最大限特化したコンテンツ作りができるため、幅広いデバイスでコンテンツ展開している競合より、より良いサイトを提供しやすいからです。

そうでないなら、コンテンツ設計の段階から「提供情報が、どのようなデバイス群で、どのような利用シーンで閲覧されるか」入念に検討しなければなりません。例えば「PCというデバイス」と一口で言っても、今どきニュース系の情報は、サイトを訪れてチェックしてもらうより、RSSリーダーで消化されることが多いです。コンテンツ構造がうまく設計されていると、情報更新担当者が、少ない労力で日々の作業を行うだけで、PC/ケータイ/iPhone等、全デバイスが一斉更新・・・つまりサイトが生きた状態でいられます。

この「360°収穫」という観点から、ゼロワンファームでは、普通のホームページでも「システム化」をオススメしています。ブログサービスやCMSを利用すると、ホームページの自由度が大きく下がります。しかし、その下がった自由度とひきかえに、全デバイス向けに情報提供しやすい環境が整います。

<システム化について>
システム化といっても、必ずしも高コストな「システム開発」が必要なわけではありません。詳しくは育てるシステムをご覧下さい。

【制作事例】Engineer Engine

一般人向けではなく、技術者向けでもない、CMS。

プログラムの分からないWebデザイナーが、自身の能力だけで高度なデータベースシステムを構築できる、Webデザイナー専用CMSです。

特に威力を発揮するのが、「360°収穫」を目指すケース。一般的なCMSを使うと、どうしても自由度が下がり、各デバイス向けのデザインやコンテンツ構成が貧相になりがちですが、EngineerEngineでは、そのようなデメリットがほとんどありません。また、プログラマー不要なため、各デバイス向けそれぞれに最適化したサイトを用意したとしても、制作コストを低く抑えることができます。

普通のケータイでもiPhoneアプリのようなサイトを制作できますので、全日本人を対象にしたモバイルリッチコンテンツの提供も可能です。